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了/観たものについて書く。

ピーピング・トム「マザー」(世田谷パブリックシアター)

「ピーピング・トム」の文字を初めて見たのは、たぶん2010年くらいの来日公演のチラシだと思う。そのチラシは洋酒入りの良さげなチョコレートみたいな印象で、つまり当時の自分にはまだ早かった。 自分が継続的な観劇習慣を身につけたのはここ数年に留まる。し…

六本木クロッシング(森美術館)

だいぶ久しぶりに森美術館、というか六本木のあたりに行った気がする。森美術館は企画展示室が完全にひとつらなりで間室がなく、かつ円形で自分が今展覧会のどの段階にいるのか感覚だけでは掴みにくい?から、HP消費を調整しつつの周回前提みたいな巡り方に…

2023年1月/青年団「日本文学盛衰史」(吉祥寺シアター)

※上演中の作品の内容に対する記述が含まれます。 原作未読。観劇日はカフェインの摂り過ぎで気分が落ち込んでおり、なんで今日チケット取ったんだ...演劇も嫌いなら劇場も嫌いだ...と思いながら中央線に乗り込んだのだが、劇場出るときには人間性が快復し、…

2023年1月/京都観劇②缶々の階「だから君はここにいるのか【客席編】」

■缶々の階「だから君はここにいるのか【客席編】」(THEATRE E9 KYOTO) シアターイーナインは下記リンクの記事で知って興味を持っていたので、せっかく京都に足を運ぶならこちらも行きたいなと思っていた。ので行った。検索で出てくる写真だとあまりそういう…

2023年1月/京都観劇①村川拓也「ムーンライト」

◼️村川拓也「ムーンライト」(ロームシアター京都 サウスホール) 「ムーンライト」は2018年に京都市西文化会館で初演された公演で、今回の再演までに過去2回、それぞれ東京と札幌で再演されている。 私がこの作品を知ったとき、日本中にある今日の公共ホールの…

2022年12月/年の瀬(SUPERSTYLIN’、Park with a Pond、ジャニーズカウントダウン)

◼️「RIP×LiS×clubasia presents SUPERSTYLIN’」(clubasia) 音楽のこと全然わからない、雰囲気で音楽を聞いている人間なりに、SPRAYBOXのリリースとラジオ番組のUKGRISINGhttps://https://block.fm/radio/ukgrisingは欠かさず聴いていた1年だったので、その中で…

2022年12月/演劇(俺が代、イミグレ怪談)

◼️かもめマシーン「俺が代」(STスポット/YPAMフリンジ) 日本国憲法とそれに関連するテキストを、必ずしも「護憲/改憲といった特定の立場を描く(カンパニーHPより)」ことを目的とせず、俳優の身体に引きつけて「演じ」ようとする一人芝居。 横浜のビル地下にある小…

UNDER Freaks 4th Anniversary

「UNDER Freaks 4th Anniversary」(渋谷WOMB) 公演全体の流れ...一定に刻んで期待感高める序盤から、爆発力あるゲストのシークエンスが続き、一旦内面に潜るような展開が挟まってメインアクト、ぐおんぐおん揺動しながらラストへ...が身体的に異様に馴染みがよ…

2022年11月

◼️dubbin'(秋葉原MOGRA) 今回左右の壁に黒いビニール?カーテンと、一対向い合わせのプロジェクターが設置されてて、なんのためにあるんだろう?ともあれ黒い地に緑とピンクの光がてらてら反射してるのはキレーだなと思って見てたら、ちょうど一番良い曲*1の…

日記(2022年11月)

数年ぶりにスニーカーを買った。 身内は(私の目からすると)皆靴道楽の傾向があるのだが、私自身はたぶん他の人より靴を履き潰しやすい方なので、どれだけ好みのデザインでもスニーカーに一定以上のお金を払うのが怖くなってしまう。しかし、ちょうど展開中だ…

東京国立近代美術館「大竹伸朗展」

腰を据えて鑑賞できるコンディションの日に行こう...と思ってた展覧会なのに、けっこう勢いで見てしまった。 作品リスト/章ヘッダー以外のキャプなし(カタログポケットから閲覧する方式)。前半セクションは展示室間の往来の自由度が高く、かつ順路に従わなく…

2022年10月

◼️FESTA松本2022 ry-kun.hatenablog.com ◼️サイコー超えてる!ミラクルオーケストラステージ(東京芸術劇場コンサートホール) 「ドリフェス!」という作品のオーケストラコンサート。 オーケストラ仕様に編曲されるにあたり一番アレンジが効いていたのが、自…

埼玉県立近代美術館「桃源郷通行許可証」「MOMASコレクション」

※開催中の展覧会の内容を記述しています。 ◼️桃源郷通行許可証 現代作家の作品×各作家が館所蔵コレクションから選んだ作品、各6組の掛け合わせによる企画展。タイトルは出展作家である松井智惠の作品内から。 会場からは極力キャプションが排され、作品情報…

2022年9月の展示

◼️光島貴之「まちの肌目にふれる」(渋谷公園通りギャラリー) 作家が渋谷の街を歩いて探った「まちの肌目」...音や匂い、あるいは足の裏から感じる触感など...をもとにした滞在制作と、参加型展示のワンセット。 制作風景の映像に「テープを貼るとき、指の腹でテー…

FESTA松本2022

長野県松本市で開催された舞台芸術イベント「FESTA松本」の感想。今年こそアホみたいに演劇に淫するぞと思っていたがそうはならなかった。旅程が下手すぎる。 「バッタの夕食会」(信毎メディアガーデン) 豪華客船タイクツニック号、怪盗と探偵、犬の国ブルドキア…

2022年9月の演劇(わたナラ,笑顔の砦,パチンコ(上))

◼️「わたしは幾つものナラティヴのバトルフィールド」(彩の国さいたま芸術劇場) SNS上の言説を皮切りに、身体をめぐる「ナラティヴ=人の思考を規定する物語」に翻弄される人間の姿を描く演劇ダンス作品。 小ホールは「めにみえない みみにしたい」以来だ。すげー…

Pretty Live! (中野サンプラザホール)

秋ライブ現地行けなさそうなので、最初で最後?の中野サンプラザ記念に書いておく。 ワンオブザモストポピュラーオタクライブの会場であるところの中野サンプラザだが、私は今回が初めて。(下記参照) ry-kun.hatenablog.com 建て替えの話が出るくらいだから…

2022年7月

■国立劇場「紅葉狩(歌舞伎鑑賞教室)」 そもそも「紅葉狩」は一度は観たい演目だった。というのも昔地元の現舞?の団体が紅葉狩の翻案ものをやったことがあって、私は(別にその演目を観たわけではないのに)そのチラシを後生大事にとっていたので、鬼女紅葉の物語…

東京都現代美術館(MOT Annual、コレクション展)

※展覧会の一部詳細な内容に言及しています。MOT Annual 2022「私の正しさは誰かの悲しみあるいは憎しみ」 今年のAnnualは三階だ!東京都現美、どの会場も開放性が確保されてるの展示空間として好感がもてる(すぐ集中力切れるから)。 今回は4人の作家を取り上げ…

東京都美術館「都美セレクション グループ展2022」

・東京都美術館「都美セレクショングループ展2022」 公募から選ばれた若手グループ展3本の恒例展示。 グループ展単位だと「ものののこしかた」がよかった。福島県の郷土史家・古川利意氏の記念美術館設立に向けた取り組みを契機とした展示というリード文と、…

2022年6月

・唐組「おちょこの傘持つメリー・ポピンズ」(花園神社) テント劇文化、知識としては知ってたが立ち会ったことは今までなかったのだが、花園神社の骨董市の脇、神社の木陰の下を這うように真っ赤なテントが張り巡らされている光景を目にして驚くほどテンションが…

2022年5月前半

・ロロ「ロマンティックコメディ」(東京芸術劇場/配信) 劇評と公演リード文読んで面白そうだな~と思って調べたらその前日が千秋楽だったので、配信あって本当に助かった。 数回観るうちに、人の行為、他者とのやりとりの対価が年月を掛けて支払われていくこと…

3月補遺(Awich武道館、TCAA、MOTコレクション)

※展示中の作品内容、展示構成に一部詳細に言及しています。・Awich「Welcome to the Queendom at 日本武道館」(日本武道館/Abema TV) 個人史のようなライブ、というと的外れかもだけど、アーティストと客演者との多様な形での関わりが、曲のテーマゾーンごとに…

舞台『アイドルランド・オブ・ザ・デッド』

※公演内容の詳細に言及しています。『DANPRI STAGE :アイドルランド・オブ・ザ・デッド』(ヒューリックホール東京)・今回舞台中央の扉を、ベッドを嵌めたり屋台を嵌めたりシルエットスクリーンを嵌めたり...自在に使っているのが興奮した。舞台上に狭い空間が…

2月補遺(久保田成子、江戸東京博物館)

◼️東京都現代美術館「Viva Video! 久保田成子」 昨年11月に同館を訪れたときは、体力と時間を勘案して久保田展を外したので、今期これで全部観たことになる。 新潟から東京、そしてアメリカへと渡った久保田の足跡を追う史料中心の前半部。ヴィデオに造形の要…

埼玉県立近代美術館「MOMASコレクション第4期」「扉は開いているか:美術館とコレクション1982ー2022」

埼玉県美行ったことないの流石にワックだな...くらいのモチベーションで行ったんだけど、ここ最近で一番興奮した展示だった。◼️MOMASコレクション第4期 まずコレクション展を見た。三室構成でコンパクトだがぎゅっと詰まった展示だ。 第一室は「自然」をテーマ…

ニットキャップシアター『チェーホフも鳥の名前』(座・高円寺)

※上演・演出内容への言及があります。 先住民族・囚人・移民、季節労働者...、多様なルーツを持つ人々が暮らし、一方で度重なる統治の変動に翻弄されてきた土地、サハリン(樺太)の人々を描く物語。 作中時間が100年近くのレンジをもっており、必然的に多世代に…

12月・1月補遺(XPEED、ユンヒへ、フレンチ・ディスパッチ)

※上映中の作品の内容に対する言及があります。・「XPEED」(clubasia) 客席内、ステージと直角になるような位置にフラットにサブステージを作っていた。おそらく転換上の要請によるものだろうけど、ミニマムに舞台の正面性が入れ替わるのがかーなり面白かった。…

「俺たちなりのageHa」の感想

◼️「俺たちなりのageHa」(新木場ageHa) 新木場という土地に愛着がある。駅のホームから既に潮のにおいがうっすら漂っているのが好き。荒川から湾岸道路に吹き上げる強い風が好き。敷地ひとつひとつの規模がデカい土地利用が好き。東京湾の浮世離れした構造物を…

Moment Joon 「White Lies & Blue Truth」

Moment Joon 「White Lies & Blue Truth」(渋谷WWW X / 配信) 「白い嘘(Moment曰く「現実を生きるための」優しい嘘)と、青い真実」のタイトルの通り、IGUCHIDOUに代表されるような外向きにアグレッシブな曲が続く序盤から、徐々にその実際を解きほぐしていくような…