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了 / 観たものについて書く。公共劇場が好き。

2021年1月・2月

※一部展示中・配信中の作品の内容に言及しています。

 

・『ジャニーズカウントダウン2020-2021』

 

・中川船番所資料館

 K区文化コミュニティ財団はデカめのスタジオ型展示室に実寸大ジオラマを配置するスタイルが好きという先入観が強化された。展示は郷土産業風俗史の痒いところに手が届いてふつうに面白いです。

 

東京都現代美術館MOTサテライト ハイファイブ:こころのこえ」

 深川旅行を題材とした〈ワタリドリ計画〉の作品は、制作者の「(時勢柄)銭湯は訪れることができなかった」とか「散歩を旅にするのは宿で日を跨ぐ時間」とかのコメントに、同時代で悩みながら移動したりしなかったりする人の温度を感じて、安堵でちょっとうるっとしてしまった。個人的な体験をミクストメディアで表現するのかっこいい。

 《彼女はしゃべるように引き算をする》は、美術館近くの川にまつわるエピソードを不定に表示させる作品なんだけど、聞き書き集から目についたエピソードを拾い読みするのに似た感覚で面白かった。

 

・『真 ADRENALINE ABEMAノ乱』

 

目黒区美術館「視ることの楽しみ:画材と素材の引き出し博物館」

 実物素材を使用した美術教材の展示。普通に教育現場でどのように使われているのかも見てみたい。

 

・映画『恋する遊園地』
  ラストの画面の(かっこ付きの)"ハッピーエンド"ぢからで押し流そうとする力が強い。主人公と遊具たるジャンボの関係というよりは、その時々の自分の感情や都合でお互いを引き寄せたり突き放したりする主人公と母親との関係の変化に重きが置かれている印象だった。
 オイルの表現は主人公に変容を促すようで視覚的な衝撃が大きかったけど、穿った見方をするならば、官能・性的快楽とされるものを、液体的・生物的に分かりやすい印象に引き寄せたのかもしれない。

 

・『次世代育成インクルージョン・コンサート きこえる色、みえる音』(2021)横浜みなとみらいホール

 特に前半の三味線×ダンスが印象的だった。双方の身体のあいだに三味線が置かれ、そこを媒介して言葉なきコミュニケーションを交わし合うようである。

 「みえる音」という標題について、「音を聴いた時の素直な情動に任せた身体の動き」がそのまま「音楽を如実に伝える身体の動き」に変換されるわけでないし、どういうことを考えて組み立てたのだろうね。

公文協シアターアーカイブhttps://syueki4.bunka.go.jp/videoで視聴可能。

 

チェルフィッチュ×金氏徹平『消しゴム山』(2021)あうるすぽっと

 「モノに向けた演劇」というフレーズが気にかかり、配信で鑑賞した。ディティールの挿入(「というのも…」)やまどろっこしい言い回しを省略しない独特の語りから一転して、ラストの端正な語りが耳に残る。

 個人的には「幽霊」や映像手法について昨年の『『未練の幽霊と怪物』の上演の幽霊』を思い起こし、双方の作品の見え方が変化する瞬間があった。

THEATRE for All https://theatreforall.net/にて視聴可能。

 

・『Your highness』(2017)Frankfurt LAB

 例えばミュージカルなどショービズ系の演目をハッピーターンだとすると、ハッピーターンの粉(からだの身振り)を振りかけた別のものを食べさせて、横から同じ味がする?違う味がする?そう思ったのはなんで?と問いかけられているような作品だった。過剰に様式化された動きは相手を必要としないように見える。

 途中、演目が終わったと勘違いした観客が拍手し出す場面があるんだけれど、配信だとバーの残り時間が見えるためまだ終わってないと分かり、劇場実演による過去の予測不能が配信を通じてリアルタイムのハラハラ感を生んでいるという謎の体験をした。

公文協シアターアーカイブhttps://syueki4.bunka.go.jp/videoで視聴可能。