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了 / 観たものについて書く。公共劇場が好き。

2021年3月・4月

・ながめくらしつ×Scale Laboratory『...の手触り:こころの手触り』(2020/沼津ラクーン)
 コンクリートが剥き出しになった空間。元百貨店で、今はカラオケとかパチ屋とかが入っているらしいそのビルの8階は、かつて百貨店の食堂だったらしく、名残として大きな窓が填められている。
 その窓に近づくと、ガラスに白い模様が描かれている。枝のように、脈のように伸び巡らされた模様。
 実際には自分は沼津にすら行ったことがないのに、冬の月夜のような温度感のライティングとか、窓から見下ろす位置にある駅前の東横インとか、「会場」に紐づいた記憶が残る配信作品だった。
(本作品の演出家と人形操演者のインタビュー動画。観客の視点を固定する配信という手法の面白さと不満点の両面に言及しており、こちらも良かった。URL:https://theatreforall.net/movie/nagamekurasitsu_2q/)

・Dance Base Yokohama(2020)『ダンスのアクセシビリティを考えるラボ:視覚障害者と味わうダンス観賞篇』
 視覚障害を持つ観客に向け、あるダンス作品を例に4通りの「翻訳」を試みる企画。
 DaBYの唐津氏が某所で「晴眼者にとっても視覚障害者にとってもダンスは「遠い」ジャンル」という旨の指摘と共にこの企画を紹介しており、気になったため視聴した。
 身体の動きをを言葉(や、言語以外のツール)に変換する難しさ、歯がゆさを前に、時には鑑賞者の意見を元にその場で翻訳のスタイルを変えていく様子が、生の試行錯誤の現場を観ているようだった。
THEATRE for ALL (URL:https://theatreforall.net/movie/dancebaseyokohama/)にて視聴可能。

・舞台「WITH by IdolTimePripara」DANPRI SPECIAL EVENT(東京ヒューリックホール)
※以下、軽度の災害体験の記述があります。
 ヒューリックホールから東京国際フォーラムの平たくて整然と区画分けされた屋根見下ろせるの最高じゃないですか?劇場集積地は最高。
 自分が観たのはちょうど公演中に地震があった日で、帰宅後はどっと眠ってしまい、次の夜はなかなか寝つけなかった。
 地震そのものへの恐怖もそうなんだけど(他の客席からかな...?と思った震動が地震によるものだと気づいたとき、おそらく実際の震度よりも強い揺れに感じた)、演者が「プロ意識」として舞台上で踊り続けていた一方で、観客の自分は近くのスタッフを早く止めてくれという目で見て「しまった」罪悪感(仕方ないことだけど)が強く残っている。
 終演後、建物を降りるまでずっと動揺してたけど、周りの観客は割と落ち着いているように見えて、より大きな被災時に自分が集団パニックを引き起こす側になるかもしれないというショックも結構追い討ちだった。
 イベント自体は、本編で好きだった細かい演出や芝居をどのように発案していったかの話が多くて楽しかった。アサヒは自分のパート外も口パクでずっと歌ってて、客席に半分背を向けたときにシルエットで口が動くのが見えたのがすごくかっこよかった。