※配信中の作品の内容に言及しています。
観劇三昧で観た。
星でもある登場人物たちの人生は、客席に囲まれた白くて丸い盆と、一秒刻みのアラームの上にある。一定の時間感覚の上に、すべての台詞の律動がいったん乗せられており、場内アナウンスすら上演に取り込まれている。
団地の友人同士であるところの、ちーちゃんとつきちゃん周りのエピソードが総じて良かった。円のステージの上なのに、隣り合う四角いベランダ越しに、夜景に見立てた客席を向きながら話し合う場面のイメージが立ち現れたよね…。
誰にも読まれないまま焼けちゃった手紙のままごと、つきちゃんのラップにちーちゃんがアツいオーディエンスさながらに反応している所が映って胸に迫ってきた。「アポロを入れようと思います/ゴメンね」の「ゴメンね」、音の数的に「アポロを入れようと思います」で区切るんだろうと聴衆が予想するところを、無理矢理音をギュッと詰め込んで「ゴメンね」まで入れられた気持ちよさがある。
他のところだと、お姉ちゃんの「放っときゃいいよ、どうせ絶滅するから」が急にヒトではないものの価値観で好きだった。
あと、お父さんとお母さんの生活が、時折重なり合いながら、各々に回転していくラップも好き。この作品における「上から3番目、左から9番目の下から3番目」のような、舞台となる場所の所在を示そうとする台詞は妙に印象に残る。