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観たものの話をしている

「俺たちなりのageHa」の感想

◼️「俺たちなりのageHa」(新木場ageHa)

 新木場という土地に愛着がある。駅のホームから既に潮のにおいがうっすら漂っているのが好き。荒川から湾岸道路に吹き上げる強い風が好き。敷地ひとつひとつの規模がデカい土地利用が好き。東京湾の浮世離れした構造物を見通せる一方で、都心方向のビルの明かりも窺えるのが好き。
 ただ、ageHaというかSTUDIO COASTはこのかた行ったことがなかった。「フリースタイルダンジョン全盛期、ラッパーたちが誇らしげに呼び掛けていた場所」という印象はあるけれど、それ以上のことは知らない。
 好きな土地にある興行場なのに、この距離感のまま終わってしまうのは口惜しいな...というのが、「俺たちなりのageHa」に行こうと思った理由である。

 初めて入ったageHaは施設内の回遊性を確保した構造で、特にアリーナの照明機構が印象的だった。
 レーザーは当然鮮烈だったのだけれど、ステージ側から放たれたレーザーが点描や波を成しながら、客席背後のコンクリート壁に照射されていたのが贅沢だなあと思った。あれだけの規模、そして形式の会場となると、その光を目にすると確実に想定できるのはステージ中の演者だけな訳だから...。
 ミラーボールは人生で見た中でいちばん大きく、光のちらつきに呼応するようにミラーボールアンセムがかかりまくる。ミラーボールアンセムって何?
 何よりいくつも吊り下がったムービングライトが、光が点いていない時もぐるぐると首を回すのが、本当に愛おしかった。DJ WILDPARTY氏の出番の際、フロアのステージほぼ真横に立っていたのだけれど、氏が大きく腕を掲げた瞬間、ちょうどライトがその首を揃って持ち上げ、まるで氏が光を跳ね上げたかのように見えてリアルに息を呑んだ。
 演者だけでなく観客をも照らすものとして照明が存在しているのが、普段親しんでいる劇場に比べて独特で美しいなと感じる。興奮して見上げてばかりいたので、翌日順当に目がしょぼしょぼになってしまった。

 観たものすべて思い出深く、個人的にはDotnoi & Tom-i(出演はDotnoi氏のみ)のステージを観ることができたのが嬉しかった。曲の展開と身振り、それからVJの効果がバチッと填められている印象があり、氏の配信アーカイブをよく拝見していたので。煽られるままにぴょんぴょこぴょんぴょこ飛び跳ねてたら、上着のポケットの中身全てぶち撒けてしまった。
 続くmonolith slip、女の子の指の間から唇がぱっと現れる映像が延々繰り返されるのを、おうおうおう何が起きてんだと野次馬的に後ろから見守るのも楽しかった。