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了/観たものについて書く。

『WITH/lations』の感想

・『WITH/lations by IdolTimePripara』(2021年5月8日/中野サンプラザホール)

 緊急事態宣言発令の影響で直前に無観客配信のみに切り替わった公演であり、昼夜各部につき、通常配信に加えステージ全景の定点映像が追加購入できる配信チケットが販売されていた。

 この定点配信がとても良かった。自分は今まで、プロセニアムってあんまりキュンとしないなーとイキってきたのだけれど、視界がステージ全景に固定されることで人物と相対する舞台空間の広さ高さが際立ち、それこそ本来的な「額縁」が求められた意味が遡及的に実感できてドキドキした。

 高い舞台中空を埋める照明も、定点では瞬間瞬間を絵画的に眺めることができた。

 例えば、スポットライトから発する光は均一だと思い込んでいたけれど、そうではなくて一本の光の中にも陰影というか疎密があることに気づいた(みそ汁の王冠みたいな3点スポット)。

 また、フラッシュの波(スーパーダーリン)は舞台下部の正面に向けられた固定ライトが順序よく明滅することで生み出していると、(そりゃ手法としては当然なんだけれど、)客観視できる距離がなければ、そもそも注目しようと思わなかったかもしれない。

 その場ではなかなか目を向けられないもの、ただただ身体ごと呑み込まれてしまっただろうものをじっくり確認できるのは、配信ならではで逆に面白かった。会場に行きたかったけど。

 照明といえば、レーザーライトが非常に印象的な公演だった。空間を意図をもって走る立体的な線であり、空間を上から塗る平面のようにも見える。特にオレーザービームのBメロ、コヨイが腕を水平に動かしたり、フォーメーションが横に広がったりするのに従って、レーザーの扇が広がったり畳まれたりするのが、VJと相まって鮮やかだった。

 通常配信の方も、カメラの切り替えのタイミングとか角度とかの匙加減で、表情や動きが移行する一瞬とか、思いがけないものを「見せられている」楽しさがあった。他者の視点を借りている楽しさ(と、もどかしさ)というか。ソロのサビでぽんぽん後頭部でカウント取ってるコヨイとか、自分の目では絶対気がつかなかったと思う。

 Giraギャラティック・タイトロープ(ラテンアレンジのWITHの曲が…聴きたい!)で、3ステージに分かれていた3人が中央に集まるとき、元々真ん中のステージに立っていたアサヒが、降りてきたショウゴに対して恭しく腕を広げて中央を譲る瞬間があり、センターに対する年上メンバーの敬意が響く人間なのですごく好きだった。

 あと、スーパーダーリンの「つかまえた」のところのアサヒは、上半身ごと引き寄せられるように腕を伸ばしているのだけれど、レールで動かしてるみたいに身体のブレがなく、つい繰り返し観てしまった。