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劇場

2024年1月/吉祥寺ダンスLAB vol.6 小野彩加 中澤陽 スペースノットブランク「言葉とシェイクスピアの鳥」(吉祥寺シアター)

※一部上演中の作品のテキストに言及しています。 吉祥寺シアターは開口部が多い劇場だ。そもそも舞台が額縁なくひらかれたエンドステージではあるのだが、4ヶ所の客席扉は別にしても側面6ヶ所の左右扉、欄干から見える階段の非常口サイン、今回については奈…

2023年11月/KAAT×東京デスロック×第12言語演劇スタジオ「外地の三人姉妹」(神奈川芸術劇場)

2020年初演以来の再演となる本作は、チェーホフ「三人姉妹」を日本統治時代の朝鮮半島に舞台を移して翻案した物語である。 【照明】(全5回)|舞台芸術スタッフの仕事 4.「照明デザインの機能」 - YouTube これは照明の岩城保氏が本作初演を照明作例として…

2023年11月/さいたま国際芸術祭・「指揮者が出てきたら拍手をしてください」(旧市民会館おおみや)

さいたま国際芸術祭は、2022年に移転閉館したさいたま市大宮区の旧市民会館が文字通り舞台として位置づけられている。ガラス張りと柱の位置で高床に錯覚する正面の築容、今どき中々見られない瀟洒な照明、1970年式の会館建築を透明な壁で動線づけながら、来…

2023年10月/東京芸術祭

と題するとさも体系的にプログラムを鑑賞した人間のようだが、先に断っておくと、諸事にかまけてぼへっとしているうちに立ち会えた一部の無料プログラムについてのみ記述している。 東京芸術祭は東京芸術劇場及び池袋エリアを中心に開催される舞台芸術フェス…

2023年6月/OrganWorks2023「漂幻する駝鳥」(神奈川芸術劇場)

冨安由真×KAATを見た瞬間、頭がぱーっと馬鹿になってそれしか事前情報調べずにチケット取った。2021年、県境移動に気が引けて「漂泊する幻影」*1に行かなかったことが明らかに未練を成している。 とはいえセンターブロックとサイドブロックでチケット料金が異…

ピーピング・トム「マザー」(世田谷パブリックシアター)

「ピーピング・トム」の文字を初めて見たのは、たぶん2010年くらいの来日公演のチラシだと思う。そのチラシは洋酒入りの良さげなチョコレートみたいな印象で、つまり当時の自分にはまだ早かった。 自分が継続的な観劇習慣を身につけたのはここ数年に留まる。し…

2023年1月/青年団「日本文学盛衰史」(吉祥寺シアター)

※上演中の作品の内容に対する記述が含まれます。 原作未読。観劇日はカフェインの摂り過ぎで気分が落ち込んでおり、なんで今日チケット取ったんだ...演劇も嫌いなら劇場も嫌いだ...と思いながら中央線に乗り込んだのだが、劇場出るときには人間性が快復し、…

2023年1月/京都観劇②缶々の階「だから君はここにいるのか【客席編】」

■缶々の階「だから君はここにいるのか【客席編】」(THEATRE E9 KYOTO) シアターイーナインは下記リンクの記事で知って興味を持っていたので、せっかく京都に足を運ぶならこちらも行きたいなと思っていた。ので行った。検索で出てくる写真だとあまりそういう…

2023年1月/京都観劇①村川拓也「ムーンライト」

◼️村川拓也「ムーンライト」(ロームシアター京都 サウスホール) 「ムーンライト」は2018年に京都市西文化会館で初演された公演で、今回の再演までに過去2回、それぞれ東京と札幌で再演されている。 私がこの作品を知ったとき、日本中にある今日の公共ホールの…

2022年12月/演劇(俺が代、イミグレ怪談)

◼️かもめマシーン「俺が代」(STスポット/YPAMフリンジ) 日本国憲法とそれに関連するテキストを、必ずしも「護憲/改憲といった特定の立場を描く(カンパニーHPより)」ことを目的とせず、俳優の身体に引きつけて「演じ」ようとする一人芝居。 横浜のビル地下にある小…

FESTA松本2022

長野県松本市で開催された舞台芸術イベント「FESTA松本」の感想。今年こそアホみたいに演劇に淫するぞと思っていたがそうはならなかった。旅程が下手すぎる。 「バッタの夕食会」(信毎メディアガーデン) 豪華客船タイクツニック号、怪盗と探偵、犬の国ブルドキア…

2022年9月の演劇(わたナラ,笑顔の砦,パチンコ(上))

◼️「わたしは幾つものナラティヴのバトルフィールド」(彩の国さいたま芸術劇場) SNS上の言説を皮切りに、身体をめぐる「ナラティヴ=人の思考を規定する物語」に翻弄される人間の姿を描く演劇ダンス作品。 小ホールは「めにみえない みみにしたい」以来だ。すげー…

ニットキャップシアター『チェーホフも鳥の名前』(座・高円寺)

※上演・演出内容への言及があります。 先住民族・囚人・移民、季節労働者...、多様なルーツを持つ人々が暮らし、一方で度重なる統治の変動に翻弄されてきた土地、サハリン(樺太)の人々を描く物語。 作中時間が100年近くのレンジをもっており、必然的に多世代に…

阿佐ヶ谷スパイダース「老いと建築」(吉祥寺シアター)

※上演の内容に言及しています。 その老女が住む家は中庭があり、まるで要塞のようなつくりとなっている。玄関は建築時からフラットに造っておいたけれど、年を経てあちこちに新たな手すりを加えざるをえなかった。二階三階に至っては、今はほとんど使ってい…

FESTA松本(と、パルコde美術館)

長野県松本市で開催された演劇フェスティバル「FESTA松本」の感想。...なんだけど、期間中三本しか観ることができていない。もっと観たかった。「A WALK IN THE WOODS:森の中で」(まつもと市民芸術館シアターパーク) 冷戦時代、核軍縮条約の締結のため、米ソ各国…

Noism0+Noism1+Noism2「春の祭典」(彩の国さいたま芸術劇場)

※上演の内容に言及しています。 さいたま芸術劇場、大ホールは初めてだけど一階座席側壁の図形…って雰囲気が好きだ。一階後部の通路の走り方というか、バルコニー席との区切り方が、あんまり見ない感じで面白い。 4本立ての作品構成で、一番印象的だったのが…

2021年6月(KAAT、虹む街、未練の幽霊と怪物)

※公演期間中の作品の内容に一部言及しています。 ・神奈川芸術劇場『虹む街』(作・演出:タニノクロウ) KAAT・中スタジオの幅いっぱいに広げられた街に、ぽつぽつと明かりが灯っていき、それぞれの生活が営まれている…その中央にコインランドリーがある。コ…