Ry

観たものの話をしている

ニットキャップシアター『チェーホフも鳥の名前』(座・高円寺)

 ※上演・演出内容への言及があります。
 
 先住民族・囚人・移民、季節労働者...、多様なルーツを持つ人々が暮らし、一方で度重なる統治の変動に翻弄されてきた土地、サハリン(樺太)の人々を描く物語。

 作中時間が100年近くのレンジをもっており、必然的に多世代にわたる物語なんだけど、世代間の兼役のチョイスがすごく絶妙だった。チェーホフ=宮沢=ミジャの「鳥」の兼役は言うまでもなく、個人的にはソフィア=チョムスンがかなりぐっときた。
 ナターシャ=マーシャ=節子は世代ものの業...子世代は親世代が成せなかったものを背負って描かれる、そして全ての時間を観ている観客もやはりその業の蓄積に加担している...を感じさせる配役だった。それはそれとして、新劇におけるチェーホフ作品のヒロインを思わせる人物が、次登場したらばりばりに京都弁を取り回す人物に変わっていたの好き。

 演出面では、休憩中に舞台上にだらりと敷かれ、?と思って見ていた白いシーツが、その後ふっと跳ね上がって、役者たちの影を客席に迫るほど拡大させるスクリーンに変わったり、ネタ光を投影した上で役者にその下を捲らせる幕に変わったりするのが、シンプルなのに効果的で印象に残った。
 机と椅子のレイアウトのみによって、「時間が経った同じ場所である」ことを想起させるのも好き。