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2024年2月/Lighting!!!(秋葉原MOGRA)

 「空間演出機材を多数導入した『光る』実験的PARTY」(公演情報より引用)を掲げるイベントで、本回が3回目の開催となる。光に群がる蛾のモチベで行く。照明ガン見することに正当性が付与されている空間は嬉しい。

 会場はDJブース側に上手・下手、高・低合計4ヶ所のレーザーと、フロア中ほどに上下一対のムービングライトが特設されている。4台ものレーザーが全開になると空間の奥行きは光の束でほぼ埋め尽くされる。なるべく自分の身体で光線を遮らないよう気にかけながら、まるで波打ち際みたいに跳ねる。面というよりもはや板状を呈した碧いレーザーに、スモークの効果がまだらに挿し込まれた瞬間は息を呑むほど美しかった。

 ムービングライトは360°ぐるりと頭を回し、腕で光を追い掛けてもいずれすり抜けていく。投影される壁や床、それぞれとの射程によってネタ光の形状がくにゃりと変容する。レンズから放たれる光の芯と疎密とを至近に見上げる。光に巻き込まれた小さな埃がちかちかと暗闇にきらめく。

 iuri氏のDJでRASのR・I・O・T掛かったの嬉しかったし、咄嗟に危ないなあと思ってた最前ダッシュまで踏み出しかけてすんでで止まった。

 dubbin'の空間演出として存じ上げていたもののDJを観る機会をことごとく逃していたLIFE is SAMPLINGは、中盤?くらいの刻みながら崩壊していくような展開が好きだった。全体に硬質なのに揺動する。公演の数日前に初めて聴いてかっこいいなあと思っていた「Pianos Raining Down」が掛かって楽しい。あと「BoilermanーOverheated」がMOGRAの会場で聴けたの地味に嬉しかった。

 続くK8氏のDJはちょっと不思議になるほどリラックスしたムードだった。細かく足を切り返し続けるような楽しさ。手を替え品を替え刻み方を替えて延々と繰り返される序盤の展開だけで一気に惹きつけられる。

 今回ブースの一段手前には最後の演奏を飾るItoShin氏のためのキーボードブースが特設されていた。ハッピーな和音が連続するキーボードソロを、見よう見まねに囃しながらゆらゆら揺れる。学生時代に持っていた想像上のクラブ概念(クラブというのはハウス?がずっと流れている場所で、ゲイカルチャーと親和的な傾向にあり、フロア?にいる人間は皆いい気分で踊っているらしい...踊るったって具体的にどのように?)を思い起こす時間だったなと、帰宅してから思った。