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2023年12月/プリパラ&キラッとプリ☆チャン&ワッチャプリマジ!Winter Live 2023(幕張イベントホール)

 昼の部。2年ぶりの幕張だった。京葉線はいくすじも河口を越えていくところが好きだ。

 設営はメインステージと対面するセンターステージ、そこから更に左右後方に島ステージが置かれて、ステージ間をレッドカーペット様の花道が繋ぐ十字型。座席出たときに結構ステージ遠いな~とちょっと沈んでたから、中入って会場見下ろした瞬間歓声上げた。

 今回のペンライトはてっぺんに星が付いていて玩具らしい。

 

M1 ワッチャ!プリーズ!マジック!

・初っ端からプリマジスタ6人組が揃って登場して、しかもソロ全曲掛けて花道の後ろまでゆっくり行列してくれたの嬉しかった。

M2 マジ・ワッチャパレード

M3 Starlight!

M4 イワナ

M5 こんな世界に告ぐ

M6 The Secret Garden 

M7 滲む、馨る

MC

・ゴーゴーマスコッツとマナマナ組のクロスMC。ちむが闊達で調子乗っていると嬉しい。「ちーむちむちむ!お手並み拝見ちむねえ!」相対的に優等生グループのように見えるマスコッツ。

M8 チェックワンツー

・エンディングのマナマナダンスを必死で踊る。 

M9 おやくそくセンセーション

M10 寝ても覚めてもDREAMIN' GIRL

・真横一直線上から見る赤城あんな!

M11 乙女アテンションプリーズ

・えもやんが上体を前に倒してぐるっと巡らす動きが好き。脚を一歩ずつたんたん回す振り、遠くのメインステージでもよく見える。

M12 インディビジュアル・ジュエル

・すずちゃんが「eye to eye」のハンドジェスチャーをしている後頭部を斜め上から見下ろすこと二度とないだろう。ラスサビに挿入される一瞬の静寂が幕張規模で維持される緊張と開放。

M13 フレンドパスワード(ユーロビートの方)

M14 アドリブ・ディスティニー

M15 One Heart

MC

M16 夢川兄妹のクリスマスメドレー

・ひるのコーデのスカートの幕?みたいなパーツが「プリンセスの冬の装い」みたいな雰囲気で曲に似合う。籠片手なのもお姫様っぽい。アイパラ事前情報~放映開始直後のショウゴを警戒してた時期を思い出して懐かしくなる。最初期ショウゴ怖かった、女子供とか言い出すし...。

M17 ヴァーチャデリアイドル

M18 パルプス・ノンフィクション

・曲名が好き。早く音源化してほしい。

M19 純・アモーレ・愛

M20 ゴー!ゴー!ゴージャス

M21 君100%人生

・バックダンサー二人を含めたパワフルな躍動感が正しく応援歌で良かった。

M22 以心伝心パンチライン

M23 ALWAYS WITH YOU!!!

・めっちゃ久し振りのWITH。地髪+白衣装、あまり現場で観たことなかったかもしれない。逆に新鮮だ。

M24 We're never ever

M25 チョコレートアイスクリーム・トルネード

・Cメロでセンステに赤い円を落とすライトのみ残して照明が全部落とされ、観客の荒く揺れるサイリウムが残酷に追いたてるように蠢いている光景、今年観た照明でもトップクラスの印象。基本的に大きくて正面を限らない会場って薄明るくなりがちなところ、思い切りが凄まじい。

MC

・マリオvs WITH→レオナ登場。高瀬の「決まりだね..」の間が大好きすぎて姉と笑っていた。また高瀬の一言一言にウケることができて嬉しい。

M26 Giraギャラティック・タイトロープ (レオナ・WITH)

ナレーション

M27 し~くれっと!ラタトゥイユ

・サビで4人が交互に屈んだり手を上げたりする振り付けが可愛い。ガァルマゲは新衣装。ナレーション段階でミーチルも新衣装誂えたのかと思ってびっくりしてた。

MC

M28 あまり・ポォロロ新曲

・あまりは脚を大きめに動かして、ポォロロは下半身はコンパクトに振り付けているの、「実寸大」だとそれが自然になるんだろうな...という雰囲気で好き。

M29 Believe

・真横一直線上から見るジェニファー!(二回目)あの両手を掲げてゆったりと揺らめかす振りが印象的。美しくて高揚感あるフェイク。

M30 天頂のコンフィアンサ

M31 Awakening Light

・花道の後方に立っていたルルナが、メインステージから見下ろすソルルの側まで曲尺を懸けてゆっくりと進んでいくのが謎にドラマチック。遠くからでも細やかな振りが見て取れる白い手。

M32 Sweetness×Darkness

・またイチャイチャしてる。

M33 トレジャー♪マイ*ランド

M34 サンシャイン・ベル

M35 奇跡の降る

・セトリのここに入るの主人公組!だ。関係ないけどパンフのまつりの写真が「あうるとの関係性でのまつり」で良かった。

M36 ピュアハートカレンダー

M37 Brand New Girls

M38 I FRIEND YOU

M39 Make it!(主人公組)

告知MC

終演挨拶

・あまね様の「ぱたのさんと一緒にステージに立ちたい」で引き笑いする朗読劇のオタク。

・ゆいの挨拶中、背景に兄が収まることに気づいたカメラが気を利かせて範囲を調整していた。

・あまりマリオの挨拶というか寸劇の最中、姉と悲鳴を押し殺しながら手を強く握り合っていた。

M40 新曲(全体曲)

2023年11月/KAAT×東京デスロック×第12言語演劇スタジオ「外地の三人姉妹」(神奈川芸術劇場)

 2020年初演以来の再演となる本作は、チェーホフ「三人姉妹」を日本統治時代の朝鮮半島に舞台を移して翻案した物語である。

【照明】(全5回)|舞台芸術スタッフの仕事 4.「照明デザインの機能」 - YouTube

これは照明の岩城保氏が本作初演を照明作例として解説している動画だが、動画内でも触れられている通り、舞台美術とその移動に特徴がある。

 舞台である日本人将校の邸宅・福沢家のセットは、可搬式の調度品で構成されており、俳優たちじしんが調度品を動かすことで場面転換を行っている。転換の時間、俳優たちが言葉も交わさないまま目線の合図のみでてきぱきと舞台セットを並べ替えるさまは、下手をすれば本編以上に人間同士のコミュニケーションの通い合いを感じさせる。さて、この「調度品を移動させる」行為は、やがてそれ自体に象徴的な意味合いが伴うことになる。

 舞台前面には、赤茶く塗られた雑貨や玩具などが雑然と、その実厳密に配置を定めて散りばめられている。先の動画内で「赤い河」と呼ばれているこの領域は、(翻案・脚本のソン・ギヴン氏と演出の多田淳之介氏によるアフタートークによると、)2020年コロナ禍での初演時に、客席と俳優間の距離4mを稼ぐというか埋めるために考案されたらしい。詳述は避けるが、この「赤い河」は今回の再演においても、最後まで幾重の意味合いにも「隔てるもの」であり続ける。

 

 作中善人としてだけ在れた人間は一人としておらず、戦争という状況が箍を外したのは確かだろうが、ただその厭らしさは「平時」とされている場面から存在していて、ただ問題視されなかったり受け流されたり目を背けられたりしていたのだという描写に、昨今に通じるものを感じて、観賞後この段になってしんどくなっている。

 一方で、三姉妹もの群像劇としても優れた機微を備えており、その面でも普通に好きだった。長女・庸子と三女・尚子が、家を取り巻く人々に翻弄され、幕を重ねるごとにやつれていくのに対して、次女の昌子は最終盤まで頬がツヤツヤしており、フィクションの次女ってこういうとこあるよなあ!と叫びそうになった。登場する女性たちの中で、昌子だけがどこか腹の底が見えない、所帯離れした人間であり続ける。

 

↓先の動画を初めて観たとき。
ry-kun.hatenablog.com

 今回動画を見返して、自分はどうしても派手な照明効果ばかりに気を取られがちだけど、照明の岩城氏が先の動画で「普通に明るくすること」「意識されずに明るい状態をつくること」が得意だと語っており、「俳優の演技をストレスなく観られる」ことって前提みたいに捉えてしまっていたな...と改めて思った。

 

2023年11月/補遺

◼️国立新美術館「大巻伸嗣 真空のゆらぎ」を観た。

〈Liminal Air Time ―真空のゆらぎ〉(2023)は24×41×8の巨大な展示室の幅いっぱいにポリエステルの大きな布が懸けられ、圧倒的な量感をもって絶え間なく波打っている作品である。

 その形状に見出だされるのは海だ。*1白く透けるポリエステルの波と、海底からまっすぐに横たわるブラックボックスの浜。暗闇に眩んでふらふらと近づいても決して濡れないし、膨らんだ波が目と鼻の先まで迫ったところで足元にすら届くことはない。

 自分は「夜の水域に入水したらどうなるんだろう」という興味があり、しかし実行したら酷い目に合うのも分かりきってるので、橋の上から暗い川を眺めたり市民プールの夜間開放に通ったりしてちまちま欲望を解消してきたのだが、それが昼間の六本木にて急に叶えられた。夜の海への憧憬が空想の中で膨らんだのであれば、それを現前するのはむしろ布とブラックボックスが孕む上演の空気であったのかもしれない。

 その場に屈んでポリエステルの裏から海を見上げる。布の表面がゼリーのようにたわむ。送風が途切れた布の端が一瞬萎んでなびく。天井近くのライトから差し込む擬似的な月光が布の表面を滑り、時折通過して黒い「海底」に落ちる。

 

◼️「魔の巣」(武蔵野芸能劇場)

 漫才とコントの違いもいまいち分かっていないが、つまり特定の時期だけ漫才を見る行為を羞じる感性も持ち合わせていないため、最近はM-1の動画をちまちま見ている。そこで知った十九人が、なんか舞台上でフルパワーに身体してて逆にへろくなる感じが印象的で、ふらっと見られるうちに一目でも劇場で見てみたいと思い立った。ので行った。武蔵野芸能劇場。武蔵野文化生涯学習事業団の文字詰めチラシ、その気がない場面で見かけると毎回ウケて手に取ってしまう。

 初めて観る人が次から次へとネタを披露して捌けていくので、正味その場で名前を憶えておくのは難しいのだが、数日経ってからふとした時にあ~!そういえばあの人良かったな~!と思い出したりする。中盤から急に中国の艶笑譚みたいなエピソードトークを始めた人が面白かった。目当てだった十九人は最初に登場した。まだ場に馴れず構えができていないうちに観ると素でびくついてしまう程、声も挙動も跳ね上がっていた。

*1:タイトルや配布の解説においては、明確に水のイメージが仮託されている作品ではない。

2023年11月/さいたま国際芸術祭・「指揮者が出てきたら拍手をしてください」(旧市民会館おおみや)

 さいたま国際芸術祭は、2022年に移転閉館したさいたま市大宮区の旧市民会館が文字通り舞台として位置づけられている。ガラス張りと柱の位置で高床に錯覚する正面の築容、今どき中々見られない瀟洒な照明、1970年式の会館建築を透明な壁で動線づけながら、来場者を「バックステージツアー」させる趣向こそがこの芸術祭の中核である。

 来場者はリハーサル中のホールに侵入し、消音のためか途端にふかふかになるラグを踏みながら舞台上に立つ。そのまま舞台袖から、楽屋や給湯室が並ぶバックヤードへと横切っていく。A番B番が書き殴られた事務室のホワイトボード、置き忘れられたまま束ねられた傘、管制室の古びたソファ、清掃職員の話し声。ありし日の市民会館の姿をいわば動態保存し、のみならずSCAPERと称される景観のフックがそこかしこに散りばめられている。

 という仕掛けであることは事前に情報を仕入れていたので、ホール建築好きな自分はきっと楽しめるだろうと期待して訪問したのだが、実際のところは、市民会館という対象に向けて至近に視線を投げ掛けさせようと誘導するその距離感の無さが、率直に言って初見では気持ち悪かった。

 マインドセットが変わったのは、この旧市民会館ホールで上演される「指揮者が出てきたら拍手をしてください」の鑑賞中だ。

 長野県松本市にあるまつもと市民芸術館の次期芸術監督団にも抜擢されている倉田翠が手掛ける本作は、「バレエをやめた」経験を持つ出演者20名(うち公募18名)によるパフォーマンスである。

 村川拓也「ムーンライト」(2023再演)の感想記事でも類似の旨を記したが、この旧市民会館のような多目的市民ホールは、全国各地で設置が相次いだのち、主にピアノとバレエの発表会の場として利用されてきた歴史がある。もっと大規模であったり伝統ある劇場ならともかく、1300前後の客席、しかもかつて「多目的は無目的」という揶揄からやっと転換を図られてきた時代の公立ホールに権力を感じる人は、(本演目に足を運ぶような)舞台芸術に親しみを持つ人間であれば余計ども少ないかもしれない。

 しかし、バレエをやめた出演者の多くにとって、こうしたホールこそが自らが/自らを取捨した「バレエの現場」であっただろう事実と、舞台上方に取り付けられたスクリーンパネルから客席に映し出される指示が、「公共ホール」の持つ権威性に積もっていた埃を払い落として浮き彫りにする。そして、この劇場をまなざす意味...客席から舞台に向ける視線、だけではなく、あらゆる角度から無遠慮に視線を投げ掛ける意味付けを遡及的に獲得してシャキッとした。

 

ry-kun.hatenablog.com

 

2023年9月・10月/補遺

◼️「ワッチャ!リーディング!マジック!」(一ツ橋ホール)

 アニメ「ワッチャプリマジ!」の朗読公演。表回りのスタッフワークがオタクイベント向きではない会場の取り回しにおいて的確というか、非常に判断が早い。脚本も出演者も足腰が強い印象。ぱたのが舞台向きのパキッと響く発声をしていてかわいかった。

 

◼️自転車ですっ転んだ。

 幸いにも単独だったのと、全身したたかに打った割に身体的な外傷は膝擦りむいた程度だったので、とんだ厄落としだと騒ぐだけで済んだのだが、なんらかの呼び水にはなったのか、以降目眩や頭痛を自覚することが増えた。ちょうど誕生日直前の出来事だったのだが、ここニ・三年がこれまでの人生の中で身体をいちばん血が通ったものとして望み通り動かせている感覚があったところ、その時期が終わりを迎えたらしいことを思い知る。職場で倒れた元上司を思い出し、怖くなって少し泣く。

 

◼️北海道に行った。

 宿を取っていた銭函に着いたのは夜だった。宿までの道中、雲間から見え隠れする月は煌々と明るく道は暗く、通りを挟んですぐ向こう側にある見えない海からいきおいよく波が砕ける音だけが聞こえてくる。風の強い夜だった。やっと見えてきたホテルのライトアップされた外壁に、風に煽られた電線の影が大写しになって揺らめいている。警戒と昂奮が一気に煽られて体表が総毛立つ。

 真夜中は雷音を聞く。

 翌朝は隣の朝里駅に向かう。函館本線銭函~朝里~小樽築港間において車窓のすぐそこまで迫る海が好きだ。冷たいみどりの海、極細のタッセルがばらばらに雪崩れるように砕かるる波飛沫の白。

 朝里で電車を降り、線路沿いの道を歩く。近寄ることはできないが、線路向こうの浜に茂るハナマスの赤い花やまるい実が見えた。早朝まで雨が降っていたせいか、線路沿いに植生する草木の葉一枚に至るまであらゆるものがクリアで、すべてが秋の澄んだ光を受けて輝いている。今年はもうこれ以上に美しい日は訪れないだろうと予感する。

 他には札幌駅のアイスケーキを食べたり、北菓楼のシュークリームを食べたり、札幌の地下歩行空間で台湾の先住民に取材した映像作品〈ILHA FORMOSA〉(空族,2023)を見たりした(挿入されていた「殺猪日」という現地アーティストの曲が、口琴を取り入れたサウンドで好きだった)。再開発のただ中にある札幌の市街地は最後の訪問からだいぶ様相が変化していたが、札幌駅南口に敷かれた白い石畳からの目が灼けるような照り返しは変わっていなかった。新幹線より先にどうにかしてほしい。

 新千歳に戻る前に立ち寄ったサケのふるさと千歳水族館は、ちょうど遡上の季節だったので、川の中を覗く観察窓の見ごたえがあった。一面のサケ。

 

◼️アドミュージアム東京に行った。

 自分が生まれる前のCMって、教科書的知識として社会現象になったことは認識していても、実映像を見る機会はあまり無いので、その手の有名広告を一覧にできるのが新鮮だった。必然的に映像展示が多いミュージアムだが、同行した友人が映像を順路通り全部観るタイプだったので、誠実な人だなあと思った。私一人だと、早く展示の全容を把握したいがために映像飛ばしがち戻りがちだから。

 江戸時代の出版文化が好きだから展示厚くて嬉しい。蔦屋重三郎ほか版元や戯作者を現代クリエイティブ産業のインタビュー風に見立てて紹介した映像は正味しゃらくせえ!と思ったが、切り口として適正ではあると理解している。浮世絵に仕込まれた「仙女香」(当時使われていた白粉の商品名)の文字を見つける展示に入れ込んだ結果、全然関係ないセクションでも展示内容より先に仙女香が目に入ってくるようになった。