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2023年8月②/VAMP!!、若き俊英たちによる戦場のメリークリスマス

■「VAMP!!」(下北沢/LIVEHAUS)

 LIVEHAUS2回目。フロアサイドの壁にその大きな月のような影を映すミラーボール、真下に立つと回転に自分自身が巻き込まれていくような心地がする。ブース側のローホリゾントライト(ホリゾント幕でない)の色がぱっぱっと変わっていく時に、オパールがかった陰影ある色味パターンがあって感謝。

 眠くなったり慣れてない音だったりでうまく身体に音を嵌められなくても、この人信頼して着いていけば大丈夫でしょう…と思ってとりあえずじっと追従していくと、実際かちっと嵌まったり新しい身体の動かし方覚えたりする瞬間がそのうち訪れる、というタームが一晩中ずっと連続する感覚だった。

 いつだったかDon't call me babyめためたにした曲が掛かって、何故とか書きたくないが多少わだかまりのある曲だったのが完全に和解した。最後にOblongar氏が掛けてたkyo「(未発表?)」、光!交歓!みたいなイメージがダイレクトに喚起されるモノホンの多幸曲だ。

 

◼️「若き俊英たちによる“戦場のメリークリスマス”」(東京オペラシティコンサートホール)

  中野翔太氏(Pf.)、成田達輝氏(Vn.)、LEO氏(箏)による坂本龍一楽曲のカバーコンサート。

 ホールは天井に三角形の天窓があって、天窓あるんだ~と思って見上げていたら開演ちょっと前に塞がり、塞ぐ仕組みあるんだ~と思った。

 とにかく弦楽器が聞きたい!という勢いだけでチケットを取った公演だったので、初期楽曲「SONATA」におけるヴァイオリンが衝撃だった。ひとすじの光のように、一方で単音だけで陰影づく存在として、異物感を伴いながら空間に挿し込まれていく弦の音色。

 箏ソロの「Andata」、構造がすっきり見える種類のカバーだったのが意外であった。「つまびく」奏法による、箏の意外にもというか正しくというべきかポップな音像観が、セッション曲でヴァイオリンと対比されることで際立つ。

 白眉は中野氏・成田氏による「A Flower Is Not a Flower」である。真っ先に感じられるのは、中野氏の演奏するクッションある着地のピアノ。膝を使ってつま先から地に足をつけるような…。やわらかなピアノソロの後、ヴァイオリンが主旋律に立ち現れる。情感豊かな序盤からワンオクターブ飛躍してウタう美しさ。鳥のさえずりのように掠る音をほそーく入れる後奏まで、観客が集中力を切らすことを許さない。